2012年度 第6回研究会

 24年度第6回研究会を下記の通り、2012年10月19日(金)に開催いたします。
参加を申込まれる方は、件名を「研究会申込」と明記して
(1) 参加者氏名  (2) ご所属 (3) 会員種別(個人/法人/非会員)
を下記お申込先までEメールにてお申込みください。

【研究会参加申込先】
日本価値創造ERM学会事務局 ; javcerm@meiji.ac.jp

★日本価値創造ERM学会 24年度第6回研究会★
 

第1部 講演(15:00~16:30)

 

     「ドハーティ著『統合リスクマネジメント』を読む」

   

一橋大学大学院 商学研究科教授 保険とリスクマネジメント担当  米山 高生

大学院時代は保険経営史を専攻。大学で保険論担当の講師となってから、保険論、とくに保険産業組織論の分野の研究を

行った。米山高生『戦後生命保険システムの変革』同文舘、1997年はその成果のひとつ。その後、

ハリントン=ニーハウスの教科書(米山高生、箸方幹逸監訳『保険とリスクマネジメント』東洋経済新報社、2005年)に触発され、

公正保険料の概念を知らない保険実務家があまりにも多いことに驚愕。

統計学、経済学、およびコーポレート・ファイナンスと知の地平線を共有するような保険論の教育プログラムの必要性を強く感じ、

新しい保険論の教科書と して、米山高生『リスクと保険の基礎理論』同文舘、2012年を出版。

この間、金融庁「ソルベンシーマージンの基準等に関する懇談会」の座長、法制審議会保険法部会の審議委員、

金融庁保険の基本問題に関するワーキング委員等を歴任。最近は、ドハーティの名著を、

森平爽一郎教授との監訳で出版(森平爽一郎=米山高生監訳『統合リスクマネジメント』中央経済社、2011年)し、

事業会社の視点をとりいれた統合リスクマネ ジメントの理論的フレームワークを教育プログラムに定着させるべく努力している。

その他の近年の出版物には、米山高生『物語で読み解くリスク と保険』日本経済新聞、

2008年および山下友信=米山高生監修『保険法解説:生命保険・傷害疾病定額保険』有斐閣、2010年がある。

現在、APRIA(アジア太平洋リスク保険学会)会長。

[要旨

大学での保険およびリスクマネジメント教育は大きく変わりつつあります。昔の保険論の教科書は、

「収支相等の原則」と「給付反対給付の原則」 から始まっていましたが、ハリントン=ニーハウスの教科書では、

二つの原則のかわりに、「リスクとは何か?」というところから出発しています。

保険をはじめとするリスクマネジメントの手法は、リスクを軽減したり、移転したりするものです。

そこで、軽減したり、移転したりするリス クとは何かということを知ることは重要なことです。

従来の保険論と新しい保険論の教科書のもうとつの重要な相違は、前者が保険会社の視点から保険とは何かを説いているのに対して、

後者は保険は市場で交換されるサービスであるという消費者の視点から理論を構築している点です。

このような保険教育の変化は、静かですが深いところで進行しています。またこの変化は、隣接の学問、たとえばコーポレート・ファイナンス、

財務会計、金融工学および保険数学の変化にも深く関連しています

このような変化の中にあっても、ドハーティ『統合リスクマネジメント』は、保険とリスクマネジメントの成果を事業会社のリスクマネジメントのフレー

ムワークにまで高める点で大いに注目すべきMBAの教科書です。新しい保険論の教科書は、消費者やマーケットの視点から書かれているとは

いえ、保険会社や保険産業を中心とした記述が中心となっています。これに対して、ドハーティの『統合リスクマネジメント』は、リスク移転をする

主体を事業会社とするようなリスクマネジメントのフレームワークを提示しています。たとえば、ハリントン=ニーハウスでは、同一のリスクマネジメ

ント手法は同一の機能を持ちますが、当該企業のレバリッジが異なるとリスクマネジメントの手法が効果が変わってくるのです。このような意味

で、彼のフレームワークは、保険とコーポレートファイナンスの両者の基礎知識を前提に構築されたものといえます。同書は事業会社の固有な特

徴が集約されている資産サイドの問題や技術革新についてはさすがに議論が及んでいませんが、負債サイドを中心として、事業会社のリスクマ

ネジメントについて理論的に解き明かしてゆくという魅力があります。

短い時間なので、本書のすべてを解説することはできませんが、本書の概要に関する情報を提供し、

より効果的な読み方についてアドバイスをしたいと思っています。

第2部 講演(16:30~18:00)

 

   

   「『今求められる監査役と内部監査部門のあるべき姿』
-コーポレート・ガバナンスを支える監査役と内部監査の役割-」

 

 

日本電気株式会社 経営監査本部 シニアエキスパート  高瀬 浩幸


1986年に日本電気株式会社入社。

経理畑を歩み、1999年より経営監査本部で内部監査業務に従事。

MBA、公認内部監査人。

[要旨

 

いわゆる金融商品取引法(日本版SOX法)に係る内部統制の評価で求められる方策や会社法に基づく内部統制システムの整備において、

監査役および内部監査人(内部監査部門)の連係が重要な要素として期待されている。

また、会社法の下では、内部統制システムに対する取締役・取締役会の法的責務が明確になったことから、

内部統制システムの整備に関する監査役への期待はさらに強まった
それらを踏まえ、内部監査人(内部監査部門)がいかに監査役の持つ強い権限・機能を有効に
活用するかという視点から、

日本企業の特性を踏まえたコーポレート・ガバナンスを強力にサポートする監査役と内部監査人(内部監査部門)のあるべき新しい姿を研究する。

本研究テーマは、今後求められる内部統制システムを整備する上での「重要な」方法のひとつであると考えている。
SOX法施行以降の米国では、監査委員会と内部監査部門の関係をより強化・密接化し、コーポレート・ガバナンスを

さらに強化している事例が多く出てきている。このような動向も視野に入れながら研究を進める。

 

 

  ○日時: 2012年10月19日(金)15:00~18:00
○場所: 明治大学 アカデミーコモンビル9F 309A教室
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html
○参加申込:  (1) 参加者氏名  (2) ご所属  (3) 会員種別(個人/法人/非会員)
を、学会メールアドレス(javcerm@meiji.ac.jp)までお送りください。

【注】メール件名を「研究会申込」としてください。
○申込締切り: 10月15日(月)
(資料準備のため、事前申込みにご協力ください)
○参加費: 法人会員(3枠) 無料
※4名からは非会員枠になります。
個人会員¥2000- 非会員¥5000-(当日受付でお支払いください)